文書管理の考え方と導入・推進の方法 <専門家コラム>

文書管理とは何か、なぜ今重要なのか

病院における文書管理の導入とその目的について東海大学 情報通信学部 経営システム工学科 准教授 金子政明先生にお話しいただきました。金子先生は品質管理、TQMなどをご専門に、現在では「医療の質マネジメントシステムの導入・推進」を主な研究課題とされ、医療の質・安全のための方法論・ツールなどの開発に取り組まれています。また、書籍「医療安全と業務改善を成功させる病院の文書管理実践マニュアル(メディカ出版/2017年発行)」ではコアメンバーとして執筆にあたられました。

金子雅明氏
東海大学 情報通信学部
経営システム工学科 准教授

早稲田大学理工学研究科の博士(工学)を取得。同大学創造理工学部経営システム工学科助手、青山学院大学理工学部経営システム工学科助教、東海大学情報通信学部経営システム工学科専任講師(品質管理)を経て、2017年より現職。専門分野は品質管理・TQM、医療の質・安全保証、BCMS。

医療現場における、仕事の質を高めるための手段「文書管理」

 質の高い医療を提供するため、第一に診療技術やスキルなどの腕が大切です。そして、第二に業務のやり方や仕組みなど仕事の質を高めることが求められます。今回は、後者の仕事の質向上を実現する「文書管理」についてお話させていただきます。
 まず、「文書管理」の文書とは、業務のやり方、方法を規定したものであり、例えば臨床に関わる手順書、マニュアル、帳票、規定類などを指します。また,業務を実施した経過・結果として診療録、患者の検査データなどがありますが、こちらは我々がいう「文書」ではなく「記録」ということになり、いわゆるレコードマネジメントを指します。医療業務を行い、ある結果(記録)を出すことになりますので、その医療業務の質を上げ効率化し、改善するために、まさにその業務が明文化されたもの(文書)を管理していかなくてはいけないと考えているのです。それが我々の目指している文書管理になります。

仕事における良い結果は良いプロセスから生まれる

 仕事や業務の質を管理する仕組みとしてQMS(Quality Management System)があり、その目的は以下の2点に集約できます。

 1,医療の質を「仕組み」で保証
  経験が異なる職員が存在する中、だれが対応してもある一定レベルの医療をできるようにするために,業務のやり方や
       仕組みで保証を行う。
 2,その「仕組み」の改善
  最初から完璧な業務のやり方や仕組みにはできないため、それを継続的にかつ組織的に改善する。 

 QMSの重要な考え方の一つに「プロセス志向」があり、仕事や業務の質を高めるためには非常に大切です。例えば、何らかのミスが起きた場合、“個人に対する注意・警告”に終始していませんか?ミスをした本人は悪意があって間違えてしまったわけではないので、注意喚起では限界があります。残念ながら、この方法は業務の改善には生かされません。“手順書に書いてあることをちゃんとやりなさい”という指摘も見受けられますが、これもよくよく見てみると、手順書の中身に無理があることが多々あります。つまり、誰でもミスなく実行できる仕事のやり方となっていることが求められるのです。プロセス志向とは、個人ではなく、その結果を導いた「プロセス(仕事のやり方)」のどこが良くなかったのか、どこを改善したらよいのかを考えるということです。仕事における良い結果は良いプロセス(仕事のやり方)から生まれるのです。

人事異動の多い病院という組織では文書化・標準化が必須

 仕事・業務のやり方や仕組みを良くするのであれば、文書化・標準化が必要です。関連する人々の間で利便が得られるように統一・単純化を図る目的で、仕事の手順や方法を文書として残すのです。病院は他の産業に比べ人事異動が多い組織ですので、せっかく仕事や業務に慣れたと思ったらすぐに担当者が変わってしまうという事がよくあります。担当者が変わるたびに仕事や業務の質が低下したり、大きくばらつくのは病院としては決して好ましくありません。それを防ぐ意味でも仕事・業務のやり方を文書化・標準化することが大事です。
標準化・文書化による効用として下記の4点が挙げられます。

・簡素化・統一化による業務の効率化
・効果的な教育の実施
・質の高い業務を誰もが実施可能
・ミスの再発防止

 まず、特に大きな意味がない、またはある特定の部署・個人の都合で作成されてきたローカルルールを簡素化・統一化することができます。さらに、業務手順書はこれまでの経験やノウハウの蓄積であるため、それらを教育に活用すれば教育用の別資料を作成せずに済みます。手順書に従えば、業務の質を担保することができ、それはミス防止につながっていくというわけです。そして、これらの文書に対して一般的によく言われるPDCAサイクルを回し、手順書などを改訂(業務を改善)していくことが大切です。

文書管理PDCA

文書管理を行う上で必要となる「一元管理」と「体系管理」

 有効な文書管理を行う上で必要となる2つの活動として、「一元管理」と「体系管理」があります。前者の一元管理とは、文書の作成から承認、公開、活用(検索・閲覧)、廃棄という、文書のライフサイクルを個人や特定の部門レベルではなく病院全体で一元的に管理することを指します。ここでポイントは、承認のプロセスであり、どの部署・委員会がどの業務の文書を管理しているかという各部門の業務分掌をしっかりと精査することで、文書に対する承認が可能になります。
 また、体系管理とは、どの業務の文書がどのくらいあるのか、どの部署が関与しているのか、文書の管理は誰がするのか、といったことを明確化することです。200床の病院で2,000~3,000ほどの文書があるといわれていますが、文書管理を実施するために、これらの膨大な文書を体系化して整理していくことになります。

一元管理と体系管理

文書管理を院内で効率的に導入するために

 実際に院内で文書管理を始めるとなると、院内に散在する文書を集めて整理したり、その運用方法を決めて、院内に周知・徹底していくことが重要となります。また、「紙」ベースでの文書管理の運用は人的コストや手間が大きくかかり、非常に大変な作業となります。文書の収集やその整理、実際の運用方法の決定、システムの導入とその後のフォローまでを支援してくれるのが、富士ゼロックスシステムサービスの「院内文書管理支援ソリューション」です。文書管理を行うことで、皆さんの仕事の質を管理することが可能です。その結果、医療業務の質の改善につながり、病院業務の標準化と改善による医療事故防止を図ることが可能となっていきます。

※本コンテンツは2019年6月20日に開催した医療機関様向け「医療安全と業務改善を成功させる 病院の文書管理 実践セミナー」におけるご講演内容を元に執筆いたしました。

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